No.145 『古典からの示唆』芸術的観察眼と己を知る

人材育成の視点から
ヴァージニア・ヘンダーソンの
古典『看護の基本となるもの』
をお伝えしております。

この本は、
看護学生をスタートさせる時の必須アイテムとして、
30年前に私の手元に来ました。

こんなに素晴らしい本なのに、
当時は心に響かなかった・・・
勿体無いと感じます。

本日は、
患者と看護師の建設的関係を
人材育成の観点から
お伝えしたいと思います。



建設的関係を築くためのコミュニケーションに必要なものは?



【欲望と基本的欲求への関わり】

ヘンダーソンは、
人間の基本的欲求は14項目あるとしています。
生きていくために必要な共通の欲求です。

欲望とは、
愛し愛されたい気持ち
自己の有用性
相互依存性


であることは前回触れましたが、
これらの個々の欲望の構成要素として
基本的欲求は存在しています。

人の欲望、基本的欲求への関わりは、
その人それぞれの
生活様式により、

無限に多様


であることを
ヘンダーソンは述べています。

どんなに
優秀な育成者でも、
優秀な看護師でも、
人には違いがあり、
合致するように要求に
応えることはできないことを意味しています。


看護師自身が考えている意味ではなく、
看護を受けるその人にとっての意味における健康、
その人にとっての意味における病気からの回復、
その人にとっての意味におけるよき死、
に資するように
その人を助けることである。
(抜粋)



この看護師と患者の関係を、
育成者とフォロワーに当てはめて考えると、

その人にとっての意味

を私達がいかに考えるか?
という点が、
共通している課題だと取れます。


【建設的関係を構築する】

また、ヘンダーソンは
言葉でのコミュニケーションを越え、
相手の
沈黙、表情、動作、これらの意味することを
絶えず分析する観察眼
が必要で、
この分析を謙虚に行うことで、
芸術的とも言える
建設的関係を構築できると
訴えています。



【建設的関係を構築するための準備】

信頼関係はコミュニケーションでの基本と考えられていますが、
人材育成やコーチングにおいて、
さらに言うと、
この建設的関係が不可欠だと私は思います。

その準備として、
私は以下のことが重要だと考えます。


看護師が自分を知ること
(自分自身の情動上の問題を認識し、
解決する能力を持ち、また自分の長所と短所に通じていること)
は、看護師に要求された機能を遂行する彼女の能力に影響を及ぼす。
~中略~
自らを知ることは他者を知ることの土台であり、
自尊の念は他者を敬うことの基本であることは、
過去においてそうであったように、
今も真実であり、
おそらくは未来においてもそうであろう。

(抜粋)


要するに、
自己理解ですね。



【ヘンダーソンに足りないこと】

この記述で足りないことは、
その自分を知るには、
アウトプットすることが必要だと思います。

自己開示

です。


苦手なこと
ごめんねの気持ち
嬉しいの感情
愛している熱い気持ち
育成者としての情熱


これらを口に出すこと。

これは
不可欠なプロセスだと思います。


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建設的関係を築くためのコミュニケーションに必要なものは?



その人にとってを前提に

自分を知ること

自己開示すること