No.135 育成から考える『セクショナリズム』

人材育成における『セクショナリズムからの脱却』は人と組織にどんな影響をもたらすのか?



【あなたはセクショナリズムの中で育ってきた・・・かも】

セクショナリズムとは、
集団、組織内部の各部署が互いに協力し合うことなく、
自分達が保持する権限や利害にこだわり、
外部からの干渉を排除しようとする
排他的傾向のことをいう。(Wikipedia)


人材育成におけるセクショナリズムの状態とは・・・

その組織独自のOJTのやり方が慣習化されている。
上長、管理者、責任者のこだわりによって、新人や異動者への接し方に特徴がある。
他部署からの自部署スタッフへの干渉に敵対心を燃やす。
自部署スタッフを他部署から守る。
自分の部下を「この子・あの子」と呼ぶ。
新人が育って数年して異動がかかると、「せっかく育てたのに・・・」とあからさまにガッカリする。

・・・
挙げたらきりがありませんね。
結構、自分のことだったりします笑。

もう、恥ずかしくて笑えてきます。。。
私はセクショナリズムの中で育ってきて、
自らセクショナリズムを作ってきたことになります。



【セクショナリズムの影響】


外部からの干渉を排除しようとする感情が優先されるので、
非常に狭い視野でしか物事を判断できなくなります。
以下に挙げるのは、「新人や若手への人材育成において」を前提とした
セクショナリズムの影響です。


<育成に携わる側>
・その干渉を受けた問題の本質が明確にならない。
・問題の本質が明確にならないため、指導や部署マネジメントへのPDCAが機能しない。
・干渉をしてきた人物をラベリングする。
・心から新人や若手を大切にし、やがて私物化していく。
・育てた人が異動でいなくなると、途端にモチベーションが落ちてしまう。


<育成される側>
・常に外部から守られるので、先輩や上長に頼る傾向がある。
・外部からの干渉を受けた後、先輩や上長が敏感に反応するので、干渉を「圧力」だと認識してしまう。
・異動したがらない。外に出ようとしない。
・異動するが、すぐに戻ってしまうか、辞めてしまう。


<組織・チーム>
・他部署から見て、「高い壁」を感じる。
・独自のOJTへのこだわりのため、組織の理念や行動規範、到達目標がおざなりになる。
・パワハラが起きやすくなる。
・上下関係・依存関係が構築されていく。
・他部署との協働はなく、他部署との優劣をつけようとする。



【セクショナリズムから脱却するとどうなるか?!】

単純に、上記の逆の影響がもたらされますね!


<育成に携わる側>
・干渉を歓迎するため、問題の本質が明確になる!
・問題の本質が明確になるため、指導や部署マネジメントへのPDCAが機能するようになる!
・干渉をしてきた人物に感謝し、詳しく話を聞こうとする!
・組織人としての新人や若手を大切にしようとする気持ちが生まれる!
・育てた人に異動命令が出ると、ようやく「巣立ち」が来たと喜べる!


<育成される側>
・常に学びと成長のための関わりをされるので、自分で考え行動できるようになる!
・外部からの干渉を受けた場合、成長のチャンスだと認識できるようになる!
・異動をステイタスと認識できるようになる!
・異動した先で、育てられたように人を育てる活躍ができる!


<組織・チーム>
・他部署から見て、働きやすさを感じる。
・組織の理念や行動規範、到達目標を軸に育成に携わることができる。
・ハラスメントはなく、信頼関係・協働関係の組織になる。
・他部署との協働関係が進み、生産性の向上にも貢献していく。


オープンなイメージになります。
では、私たち育成にあたる者が具体的にやるべきことは何でしょうか?



【育成者に必要なもの】

1. 広い視野

広い視野の基準は、「様々な人の視点」。
人材育成に携わっていると、どうしても自分を育ててくれた先輩は何をしたのか?と考え、自分の考えに固執していくことが懸念されます。組織横断的に、様々な人の「干渉」を取り入れることが必要です。

2. 絞られた焦点

育成・指導するフォロワーに焦点を当て続けることが必要となります。
これらの前提は、組織の定めた理念・行動規範・到達目標などが基準になっているかが重要です。
フォロワーに焦点を当て、自分のこだわりではなく、
組織全体の理念・行動規範・到達目標との乖離が生じていないか、
常に自分の育成をチェックしていく必要があります。


3. セクショナリズムを知り、脱却への行動を始める

組織・企業・チームなど少なからず業界や職種でカテゴライズされているものです。
しかし、セクショナリズムは縄張り意識とも言われ、組織全体の風土の特徴であることは否めません。
施策や制度の工夫によって、セクショナリズムから脱却できる可能性もあります。
組織全体の施策や制度構築は必要ですが、
先んじて、育成者が行動に起こしていくことが最も大切だと考えます。