No.118 新幹線お掃除劇場

『カイゼン』はどのように生み出されるのか?


現在、東北に出張中です。

私は東京駅から東北新幹線に乗車するときはいつも
早めにホームで待機します。

たとえ猛暑でも・・・
今日のように寒くても・・・

それは、TESSEI(テッセイ)の
新幹線お掃除劇場
が見たいからです。





【スタッフの現場力】

新幹線のお掃除はたった7分
東京駅に戻ってきた新幹線。
乗客を降ろした後、次の発車までの限られた時間内で
掃除を済ませます。

分担が決められていて、
非常に効率よく作業をしています。

私がテッセイを知ったのは、書籍からでした。
ハーバードビジネススクールでも注目されているほど、
様々な特集記事が組まれており、
その中でよくこの
「現場力」という言葉が踊っています。
なんとなく、その言葉に具体性を感じなかった私は、
毎回、必ず、絶対、東京駅でこのお掃除劇場を見ながら、

現場力って何か?

を考えながら眺めてきました。

スタッフの皆さんには、

「新幹線を定刻通りに運行する」
「お客様のためになりたい」


という純粋な気持ちがあるそうです。

それは、同じ方向を向いて
一つのことに取り組むこと、
すなわち、それが

現場力
だと私は考えます。



【3Kからは何も生まれない】

新幹線掃除の仕事は
「きつい・汚い・危険」の
3K職場。


どこかで聞いたことがある・・・笑

私が読んだ本には、

テッセイに子供が勤めている親は、
その名前を伏せていた時代もあった


とありました。

その会社が、
現在は世界が注目するほどに成長しました。

テッセイの改革に取り組んだのは、
JR東日本から出向してきた
矢部輝夫さん。

社内の「カイゼン」に全力で取り組んだことで
有名ですが、

ただ、働きやすい「やり方」を導入したのではなく、
働きやすいと思える風土を作り出していたと感じます。

仕事の内容そのものは変えられません。
自分が辞めても、誰かがやるのです。

「きつい・汚い・危険」

やりがい

に変わった時、
初めて問題意識から
課題発見ができるのだと考えます。


【問題意識から課題発見意識に必要なもの】

テッセイの社員さん・パートさんは自分が、
「掃除のおじちゃん、おばちゃん」
だと思っていた時代があったそうです。
それが、現在は、
「新幹線劇場のキャスト」
だそうです。

随分違いますね。

これは、前述の矢部さんが
テッセイ社員の

ありたい姿
仕事への理念
ビジョン


を常に伝えていたそうです。

目の前の問題を
モグラ叩きのように潰していく問題対応型組織ではなく、
主体性のある課題発見型組織にするためには、

リーダーが発信する内容が大事になります。
禁止事項や注意事項を事細かに伝えるのではなく、

リーダーのミッションビジョンバリュー

を示していく必要があると思うのです!!




『カイゼン』はどのように生み出されるのか?

~カイゼンは年間『◯件』出させる~
とよく聞きますが、

リーダーの発信によって
従業員の課題発見意識が向上し、
自然に生み出されるものだと感じます。

カイゼンを出させたいのなら、
組織のマネージャー層がまず、
組織風土の『カイゼン』に取り組む必要がありそうです。




今日、最も感心したのは、
お掃除スタッフの方々が清掃を終え、
新幹線車両の前に並ぶ時、
最初に出てきた人が、
後に続く人数の分、しっかり間隔をあけて
自分の立ち位置を決めていました。
4名並んで、
待っている私たち乗客に一礼!!

思わず私も一礼してしまいました。
ちょっと恥ずかしかった・・・(笑)